更新日:2016年04月10日
文化専修
受験生へのメッセージ(曹 元春)
文芸学部 教授 文学博士
中国長春市の出身で、比較文学を学ぶために日本へ留学に来ました。一九九五年四月に共立女子大学に着任し、今年は二十一年になります。所属学会は国語?国文『解釈学会』、和漢比較文学会、宋元文学研究会です。
① 「基礎中国語」
② 「比較文学論」
③ 「女性と文芸」
④ 「宗教と文芸」
⑤ 「文芸学特講」
① 「基礎中国語」は、前期は「入門」、後期は「表現」のように分けられています。前期は、中国語を学びたいと考える全学部?学科生を対象とします。初心者を対象に、中国語を学ぶ楽しさを知り、これを学ぶ意味を自覚することを主眼に置きながら、初歩的な中国語の習得を目指します。具体的には、発音のしくみとその表記法であるピンインから始まり、文法の初歩、簡単な日常会話などを学んでいきます。また、中国語を学ぶ楽しさと意味をより深く認識してもらうべく、言語の文化的背景(生活、社会、文学、芸術、歴史、地理)なども随時に紹介していきます。前期の到達目標は、中国語に親しみながら、その基本的な仕組みを理解するとともに、初歩的な表現を身につけられるようになります。
後期の「基礎中国語(表現)」は、「基礎中国語(入門)」をすでに習得した学生を対象とします。「基礎中国語(入門)」を履修し、初歩的な中国語になじみ、これを学ぶ意味を自覚した学生が、中国語を本格的に学び、身につけてゆくための基礎固めの科目です。すなわち、中国語の初級文法を体系的に学び、その運用能力を培うとともに、口語表現能力の向上を目指します。後期の到達目標は、学生が中国語の初級文法を体系的に理解し、その運用能力を身につけることができるようになります。また、学生が日常生活に役立つ口語表現力を高めることができるようになります。
② 「比較文学論」は文学作品を代表する文字によって表現された作品を対象として、広い視野において様々に比較、検証し、新たに捉え直そうとする講義です。日本文学と中国文学との関連について比較検討し、相対化するとともに、私たちにとって文学表現のもつ意味について考察します。古代から日本の和歌、物語、俳句などは中国の漢詩文の影響を受けてきました。その両者の関連について検討し、日本の文学者はいかに漢詩文を理解したのか、漢詩文の発想、技法、表現、言葉をいかに受け入れたのか、受け入れたうえでいかに自国の文学に生かし、独自のものを創り出したのかについて考察する力を身につけることができるようになることを目指します。到達目標は、学生が和歌及び俳句と中国古典文学との関連について考察し、その両者の共通点と相違点を理解することができるようになります。
③ 「女性と文芸」は「女性」を主人公とした中国古典文学(神話?詩?詞)を取り上げる講義です。創造主の女神女媧をはじめとして、時代順にしたがって、様々な角度(歴史、社会、文化、、芸術、民俗など)から女性のありようを考察し、その実態、要因、特色、意義などを解明していきます。この講義の到達目標は、詩?詞の読解?鑑賞に関する方法を習得することを目指します。古代の女性の生き方を理解するとともに、女性として自意識を確立させていくことができるようになります。
④ 「宗教と文芸」は、宗教思想が表された中国古典文学を取り上げる講義です。古代では中国の伝統的な文化を形成する上で、主に古代の原始宗教?儒教?道教?仏教は重要な役割を果たしていました。本授業では、これらの宗教思想が表された中国の神話?古典詩歌を読み解いていきます。到達目標は、宗教が表された神話?詩歌を通じて、人生社会の諸相を理解していくことができるようになります。
⑤ 「文芸学特講」は、大学院生を対象とする授業です。日本では、古代から中国の文化と文学を学び、それを採り入れて自国の文学と文化を展開させてきました。中国の文学と文化の学習を通じて、自国の文学と文化をより深く理解することができます。本授業では、中国最古の歌謡集『詩経』を取り上げて、『詩経』の「賦?比?興」という表現技法によって詠まれた詩を読解し、鑑賞します。到達目標は、詩の読解?鑑賞の方法を習得し、中国古代の原始宗教?文化?習俗及び人々の考えを理解することができるようになります。
日中比較文学?中国の古典詩歌
日中比較文学では、『万葉集』の和歌、松尾芭蕉の俳句と中国の漢詩文の関連を中心にして、比較文学の視点から、実証研究、理論研究、作家?作品研究を行っています。中国の古典詩歌では、南宋の思想家朱熹の五七言絶句について研究しています。
著書
2000年2月 単著 『杜甫と芭蕉』
2006年12月 単著 『標準中国語応用会話篇』
2006年6月 共著 『中国語2級リスニングに挑戦』
2008年7月 共著 『朱子絶句全釋注第四冊』
2015年8月 共著 『朱子絶句全釋注第五冊』
中国の前漢時代の経書『礼記?学記』に、「玉不琢不成器、人不学不知道(玉琢かざれば器を成さず、人学ばざれば道を知らず)」とあります。この文は、生まれつき優れた才能を有していても、学問や修養を積まなければ立派な人間になることはできないという意味です。受験生のみなさん、玉になる原石である自分を磨いて輝くことを期待しています。