更新日:2024年07月10日
研究紹介
日本繊維製品消費科学会の年度論文賞を受賞しました。
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会発行の繊維製品消費科学会誌2023年3月号に掲載された以下の論文が年度論文賞を受賞し、2024年6月22日に日本繊維製品消費科学会2024年年次大会(信州大学)で行われた学会賞贈賞式において、大学院家政学研究科被服学専攻2年の秋田陽子さんに表彰状が授与されました。
「洗濯機付属糸くずフィルターがマイクロプラスチックファイバーの流出を削減する効果」
共立女子大学 秋田陽子、後藤純子、東京海洋大学 東海正
近年、マイクロプラスチックによる海洋生態系への影響が懸念されており、家庭洗濯からマイクロプラスチックが排出されていることは、多くの研究者によって指摘されています。本論文は、そのマイクロプラスチックの流出が、日本製の家庭用洗濯機に標準装備されている糸くずフィルターによって削減されている可能性を検証したものです。合成繊維素材の衣料を縦型洗濯機及びドラム式洗濯機で洗濯し、洗濯機付属の糸くずフィルターと、排水ホースの先端に取り付けた自作のフィルターで回収されたファイバー状のマイクロプラスチック量及びサイズを測定することで、洗濯機付属糸くずフィルターの効果を明らかにしました。
なお、本研究は、環境省事業「平成30年度漂流マイクロプラスチックを含む漂流?海底ごみの分布調査及び指標等検討業務」、「平成31年度漂流マイクロプラスチックを含む漂流?海底ごみの分布調査検討業務」及び2021年度共立女子大学?共立女子短期大学総合文化研究所研究助成によって行われたものです。ここに感謝申し上げます。
年度論文賞の推薦理由は以下の通りです。
推薦理由: 本論文は、洗濯により生じるマイクロプラスチックファイバーの流出の削減の対応策について、繊維製品消費科学の視点から客観的なデータを示した検討を行っている。今日の環境問題を解決するための糸口となる成果を得ており、今後の繊維産業や消費生活と環境とのあり方について考える上で、新たな知見と発展性が期待できるものと思われる。
よって2024年度 学会賞 年度論文賞を授与する。