Faculty of International Studies
更新日:2024年09月24日
学生の活動
【国際学部】日本語教師養成課程「日本語教育実習」履修生が日本語学校で教壇実習を行いました。
2024年8月20日から23日までの4日間、「日本語教育実習」履修生11名(国際学部4年生10名、科目等履修生1名)が押上にある「東京富士語学院」で教壇実習を行いました。
日本語学校での教壇実習は、竞彩足球比分_澳门皇冠足彩-体育|在线6年4月に施行された日本語教育に関わる法律によって法務省が定める日本語教育機関(日本語学校など)での実習が義務化されたことを受け、本年度はじめて実施したものです。同日本語学校で教務主任を務める倉八順子先生(教育学博士)のご指導のもと、初級文型の復習を行うという教壇実習に加えて、学習者との「対話実習」を行いました。
教壇実習は、11名が3つのグループ(A,B,C)に分かれてチームティーチングで行いました。中国語やベトナム語が母語の学習者20名ほどのクラスで、学習者が近々経験する「入学試験の面接」を想定したオリジナルのダイアローグを活用し、受身、使役、敬語の文法項目を復習する授業を実施しました。授業の最終日には、学習者が自分のことを面接で話せるように、実習生全員が学習者の作文を支援する時間を設けました。
「対話実習」とは、倉八先生の実践のキーワードである「対話」を取り入れた活動です。倉八先生のご著書では「「対話」とは、他者性(他者が自分とはまったく異質な存在であること)を前提としたコミュニケーションの営みです。「対話」は同質性を前提としたコミュニケーションである「会話」とは異なります」(倉八順子(2021:18)『「日本語教師」という仕事:多文化と対話する「ことば」を育む』)と説明されています。実習生は、学習者のグループに参加し、学習者の言語背景、言語レベルを考慮しながら、「対話」の実現に向けて話題を選び、準備し、言葉の難易にも気をつけながら話し合いを進行するという経験をしました。
実習生は8月の実習に先立ち、6月にも同校で授業見学と対話実習を行いました。第1回目の対話実習では、大変だったという声も多かったですが、今回は以前よりも実り多いやり取りができたという声が全員から聞かれました。
〔実習生最終レポートより〕
?教壇実習について-- 「高く自己評価できるところ」として:
高く評価できるところは、前日のAグループに対する倉八先生からのアドバイスを導入したことである。特に、生徒と「対話」をしながら授業することを心がけた。どこで「対話」を入れるか話し合い、文法説明で取り入れることを決めた。この話し合いは、「対話」の見直しを中心に行ったが、学習者に対して一方的な説明が多いと気づくことができた。最初に準備していた文法説明の方法は、小さな問いかけを準備していたものの、スライドを見せて説明するだけの単調な作業だった。教師としては楽だが、学習者との「対話」が不足しており、物足りない授業になっていたと考える。実際に授業をしてみても、「対話」を心がけたことで文法説明以外の部分でも学習者の理解度がわかりやすい授業になったと感じる。また、私たちのグループは話し合う場を何度も作り、入念に準備してきたことも評価する点だと考える。教壇実習本番では、準備が不足していたと感じる部分もあった。だが、準備の段階でそれぞれの役割を明確にし、細かい部分まで調整してきたため、本番は自信を持って教壇に立つことができた。個人としては、準備に力を入れたことで余裕を持って実習に臨むことが出来た。客観的に全体を見渡すよう意識し、担当のメンバーが話せない時は、4人もいて静かな時間ができるのは勿体無いと思い、「どうですか?」と学習者に声をかけた。その対応が良かったのかはわからないが、自分がやった方が良いと思ったことを本番で実践できてよかった。(T.N)
?対話実習について-- 「高く自己評価できるところ」として:
菅生先生のご指導のもと、再考を重ねたテーマの決定。当日使用する資料の用意と資料配布、テーマに沿った関連内容の提示(お盆やおまつりなど)。結果的に学習者が関心を持ち注目してくれる資料を作れた。また、しおり(注:実習期間に使用するテキスト、ワークシート、付録としての東アジア地図や都内路線図をまとめて冊子として学習者に配布した資料)の地図や路線図なども活かしながら対話を進めることができた。
やさしい日本語を意識した語の選択、テーマの説明ができた。想定できる学習者からの質問の回答の準備(なぜお盆の時期にきゅうりとなすを使用するのか)。
その場では思いつくことができなかった質問の回答や、関連する内容について終了後に調べ、夏休みのお祭りについて関心を持ってくれた学習者に後日声をかけ伝えることができ、情報提供をして喜んでもらえた。
挨拶や受け答えを笑顔で相手の目を見ながら、慌てず行うことができた。中国出身ということだけでなく、教室内ではマイナーな宗教の学習者にも気を配り、その文化について学ぶこともできた。
翻訳アプリを使用しようとしている学習者がいたため、やさしい日本語を駆使して翻訳アプリの使用を避けることができた。(S.K)
後日、日本語学校より、学習者が実習生に宛てたお礼のお手紙が送られてきました。倉八先生からの評価コメントとともに、実習生にはいい思い出となることでしょう。
本教育実習にご協力いただきました東京富士語学院と倉八順子先生には深く感謝申し上げます。また、はじめての学外での教壇実習を実施するにあたり、サポートいただきました辻山国際学部長、佐藤雄一先生、ほか助手の方々にこの場をお借りしてお礼申し上げます。
(授業担当教員:菅生早千江(短大文科))
東京富士語学院ウェブサイト:https://tokyofuji.com/ 「日本語教育の小径」でも
日本語教育実習の様子が紹介されています。